第2回:YAMASA人形劇ツアー

日時:2000年3月11日(土)日帰り
午前9:00CASA集合、10:30アルカリソのパラダ発、11:30展示農場到着、12:45正木邸にて昼食、1:45会場の村へ出発、2:15到着、3:00開演、5:00終演、5:45展示農場より首都へ出発、6:30アルカリソ到着、解散。

参加者
Biblioteca Movilより:Francisco Javier /Pura/Cervin/Antonina
JICAより:池本利恵 正木庸子 山上恵子 改発理奈 高橋眞理子

実は私の職場はBiblioteca Nacional であってBiblioteca Movil(移動図書館)ではないんですが、この国の子ども達の読書環境を整え、読書の喜びを知ってもらい、読書習慣の普及に努める、という大目的のために、まあ元々ボルンタリアの高橋が働くのはともかく(趣味半分だし)なぜ巻き添えとばっちりをくって土曜日だっていうのにわざわざYAMASAくんだり(失礼!)まで、配属先でもない移動図書館の人々が仕事しにいく羽目になったかというと、それは一重に(運悪く高橋と知り合ってしまった)移動図書館の副館長、Francisco Javier氏の努力とご好意によるのであって、誠にもって感謝の念に耐えません…と言いつつ、でもドミニカの将来のためにドミニカーノスが働くわけなんだからまあいいか、外国人の私達だって働くわけだし、と開き直り、行ってきましたYAMASAツアー。今回の旅は、移動図書館がYAMASAのようなド田舎(失礼!)にも進出可能かどうかの下見を兼ねておりまして、順調に行けばYAMASAはこんな辺鄙な村なのに(再三失礼!)農業先進地区であるのみならず、教育文化モデル地区にもなってしまうのかもしれない。JICAの援助が見事に花開いたわけじゃないか、よかったよかった、ということになる…はず。
*移動図書館は、現在5台のトレーラー(小型のもある)を、サントドミンゴ市内24個所のステーションに走らせていて、地方進出はまだなのよ。プランはあるが予算がないという、ありがちな状況だそうで。でも本当はカンポにこそ図書館サービスが必要なのでは?!という事をやはり彼らも考えていたわけで、首都から近い、下地と人脈がある、という条件の良さから、まずYAMASAに行ってみたわけです。それにしても、UNESCOのバックで動いているこの移動図書館は、私の配属先よりよほど良い仕事をしていて、こちらは反省気分と羨ましい気分と両方なのでした。

さて、YAMASAまでの道中はいつものとおり。実はフランシスコ氏は自分の車(トヨタカローラ)で行きたかったのだが、それは可能か?と尋ねられて、思わず「カローラに乗って、ヤマサにドライブ…したら車が壊れる…」と歌ってしまった1号2号。故に安全第一で毎度お馴染みカミオネッタの荷台にゆられ、土埃にまみれての1時間。ずいぶん混んでいて、利恵さんがあわや立ち乗りかと思われたが、そこはかりーにょむちょなドミニカーノス。なんと利恵さんは人の膝に座って、がっしりと守られてYAMASAに到着。…姫君待遇とでも言うのであろうか。あと10分の地点でパンクされたがスペア(つるつる、溝がない…)と交換し、大事なく展示農場に着いた。
早速、練習およびプログラムの調整に入る。何しろコーディネート役兼窓口のフランシスコ氏が忙しく、これまでまともに打ち合わせできてないのだ。せっせと準備に励んでいたら、なぜか向かいのコルマドのおやじがやってきて「セルベッサ冷えてるぞ!」だと。日本人が来るとビール買うものと思ってるらしい。…まあ当たってるけど。でも移動図書館の人々が仕事の前には飲まないぞ、というすばらしい姿勢で臨んでいるので(当たり前か)おやじには帰ってもらい、一段落したところで昼食。美味しいモロとチボ・ギサードを頂きました。
腹ごしらえもできたところで、いよいよ会場の村へ出発。川を渡り、15分ほどで到着。早速会場作り。日本人組がせっせと人形劇の舞台を作る脇で、移動図書館の皆さんはなんと顔にペインティングを始めた(ぴんためー、とエルビス・クレスポを歌いながらやっていた)おお、カルナバルのようだ。でも私は塗ってもらうより人に塗る方が好きだな、とどうでも良いことを思いつつ、布を張るのに少々苦労したが、そこは村落開発普及員の知恵と工夫および村人の協力で解決(実はカミオネッタの運転手の兄ちゃんも良い奴で、せっせと手伝ってくれたのだった)子ども達もどんどん集まってくるので、移動図書館の人々が先に子ども達にもペインティングをしたり、歌と遊びで始めてくれたのを、「いいなあ、楽しそうだ」と横目で見つつなんとかこちらも準備完了

プログラム

*振りや踊りもついた楽しいもの。こういうのはやっぱりみんな大好きだよね。いくつか教わりたい。
絵本:「Choco Encuentra una Mama」
*普通の絵本読み聞かせだが、全部きちんと文章を読むのではなく、要約して語っていたと思う。お話を聞きなれていない子ども達には必要かも。
お話(お芝居風に)「El ratoncito Perez」
*お話を語り手が隠れて読み、前で人間が台詞なしで、それにあった動きをする。やはり、素話では集中できないであろう子ども達のための工夫。
人形劇「Extrano Extrano」
*前回もやった「へんてこへんてこ」長新太・作(佼正出版)から作ったペープサート。(BGMに理奈ちゃんのバイオリン演奏付き。曲目は前回と同じ。語り:高橋、人形操作:山上、補助:池本)
パネルシアター「El regaro de la nana Engracia」
*「エングラシアおばちゃんのおくりもの」福音館こどものとも1999年6月号:マリオ・モンテネグロ
文/オルガ・マラディアガ絵(語り・人形操作:高橋、人形貼り付け補助:山上、バイオリン、改発)
作者・画家共にニカラグアの人。エングラシアおばちゃんが子どものように可愛がっているロバのグリセリオが明後日結婚する。そこでおばちゃんは贈り物にとテーブルクロスを作り、真ん中に赤い糸で新郎新婦のイニシャルを刺繍する。ところが夜の間に糸や針が消えてしまった!まだ刺繍は仕上がっていないのに!おばちゃんは家中探したが見つからない。とうとう大声で泣き出した。そこで友人の動物達が心配して集まって、みんなでまたまた探すのだが、やっぱり見つからない。困り果てていたそのとき、階段脇に巣を作っているクモが目を覚まし、実は巣の修理のために借りていた、と謝った。おばちゃんはめでたく刺繍をしあげ、ほかの動物達もそれぞれ腕をふるったので、それは見事なテーブルクロスができあがった。そして結婚式当日、みんな幸せに新郎新婦を祝ったとさ。というお話。パネルシアターにしたかったのだが、材料が見付からず、画用紙で紙人形を作り、裏にセロハンテープを貼って、それを張った布に張りつけながら話を進めた(図書館のお話会でやったときは、板のついたてがあったので、それに布をかぶせて使った。画鋲もきくし、やりやすかった)布の面積が小さ目だったとか、風で布がゆれるし、後ろに壁がないのでどうしても貼りにくい、という難点があったが、なんとか楽しんでもらえたと思う。結婚式のシーンではバイオリンで結婚行進曲を弾いてもらった。ラストシーンでロバの新郎新婦が出てくると、それだけでみんな笑ってくれる。不思議だ。

という内容でたっぷり2時間。…かなり疲れました。楽しいんだけどね。しみじみ体力不足です。でも子ども達ばかりでなく、大人も楽しんでくれたようで、その笑顔が救い。カフェを頂いて展示農場に引き上げ、こんどこそビールを飲んだら結構まわってしまい、交通費その他誰が払うかでフランシスコ氏ともめた(って言うのかな?移動図書館の予算から出すから、と言うフランシスコ氏と、負担をかけたくないからこっちの積立金から出す、という私とで…)のも、かなり酔っ払いな頭だったからかもしれない…すいません。結局は割り勘ということに利恵さんがまとめてくれた。こういうことは最初に話し合っておくべきだったのかも…反省。
村まで行ってくれたカミオネッタを借り切って首都へ(料金交渉その他、全部利恵さん。全く高橋はこういうことになると、のーしるべな奴…)1号、2号と恵子さんも残り、今度は6人で悠々と帰ってきました。 
CASAに戻ったら、なんと焼き肉の晩御飯があって(先週のカルナバルの打ち上げの残り)大感動でした(ソファに倒れ込んでいる間に美味しいお肉が焼きあがり、真っ白なごはんが炊き上がっていたという幸せな状況…)

というわけで、このツアーは大成功だったのでは?というのが私の意見です。またやりたいなあ。移動図書館のみなさん、YAMASA在住のお二人、それに恵子さん、理奈ちゃん、むちします ぐらしあす!!

以上、文責:高橋眞理子

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