SAMANAただ今開発中

        10−2 大橋 美和子

  Samanaはとても静かで、美しい街です。海からの入国が許されている港町でもあり、目の前の湾にはアメリカ・ヨーロッパから来たヨットが停泊しています。
Samanaは美しいplayaがある観光地として名を知られていますが、市内にplayaがあるわけではありません。Cayo Levantadoと、毎年1月〜3月の間にくじらを見ることができること、湾内の島にかかる橋。この3点がSamanaの観光ポイントです。
Samanaを訪れる観光客は、ほとんどバスで来る日帰りです。多い日には20台以上ものバスが来ますが、Samana市内にお金を落とすわけではありません。そのためでしょうか、観光地の割には、観光客を相手にしたレストランやブティック、おみやげ屋が少ないのです。
  さて、今Samanaは変わろうとしています。Malecon沿いで観光開発事業が始まったのです。事の起こりは昨年5月、前大統領LeonelがヘリコプターでSamanaにを訪問したことです。彼が発表したのは、Samana一大ヨットハーバー建設(正式名称は知りません)でした。どうせ、選挙前の口約束、絵に描いた餅だと私は思ったのですが、10ヶ月後の今年3月、何の前触れもなしに突然工事が始まりました。
始まりだしたら早いのは、首都の道路建設と同じです。あれよあれよという間に、木は切り倒され、芝生ははがされ、店は取り潰され、海は埋められていきました。Samanaの人々は呆然と眺めているだけ・・
  この観光開発事業は、スペインとロシアの出資による共同事業です。なぜ、ロシアなのだろうと思うことと思います。しかしロシアでお金を一番持っていそうなのはマフィアでしょうから、彼らにとって何かと魅力があるのだと思います。完成するのは3年後で、ホテルやアパート、ショッピング街も同時に建設される予定です。
8月現在、工事は着々と進んでいます。すでにMalecon沿いはとてもおしゃれな遊歩道になりました。花壇にはたくさんの花々が植えられていますし、おしゃれなベンチ、ヨットのマスト(?)を模したようなカラフルな展望台(?)が並んでいます。夕方近くにはたくさんの人々が散歩したり、ウォーキングしたりと思い思いに楽しんでおり、とてもいい風景であります。
  しかし、この事業がSamanaの現状を無視して進められていることを少々心配しています。例えば、Samana市内で上下水道の完備が成されている地域はまだほんのわずかであり、多くの家庭で生活用水はそのまま海へと垂れ流しの状況です。それなのに、海へ流れ出る川の出口は美しく整備されています。流れる水が汚れているのですでに異臭がしています。また、私の友人が経営しているレストランは立ち退くように言われていますが、業者が取り壊し料を払ってくれないとかで、未だにもめております。
  私はSamanaの、たくさんcocoがあり、自然がそのまま残っていて、落ち着いていて、野暮ったいところがとても気に入っていたのです。おしゃれで、こぎれいな今のSamanaは少しよそよそしい顔になってしまい、私は寂しい思いをしています。

  工事はまだまだ続きます。工事関係者はSamanaの人達ではないので、治安が悪くなっています。遊びに来られる方は、十分に気をつけてください。

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