POCO A POCO   
     第14号  2000年10月30日

     ドミニカ共和国    埜口  香代子

☆とうとうラスト・スパートです
6月末に一時帰国してからあっという間に4ヶ月が過ぎ、残り任期もあと1ヶ月ちょっとになりました。もうすぐ2年間の任期が終わって日本に帰るなんて嘘のようです。「本当にもう日本に帰るの?」っていう感じです。でも自分の置かれている今の状況を見ていると活動も以前にも増して慌ただしくなり、そろそろ活動の締めくくりに取りかからなければならないということは感じています。それにしても最初の頃、「早く日本に帰りたいなあ」と思っていたのに、今は日本に帰るのが何とも寂しいような気がします・・・。

☆活動報告
先にも述べたようにもう活動も佳境に入り、そろそろまとめの時期です。この4ヶ月、日本に帰ってから早速、カウンターパート達と紙漉きをやってみました。途中、うまくいかないとみんなして、「何でカヨコ知らないのよ?」と私に責任転嫁し、喧嘩をしながら、「あーでもない、こうでもない。」と言って進めていきました。でもちょっとした工夫で思った以上に良い物ができ、1枚の紙が完成したときにはみんな歓声を上げました。紙漉きをした紙でちぎり絵を施したり、花びらを貼り付けたりして葉書やしおりを作ってみました。これは良い案です。職場としても今後、もう少し練習してうまく出来るようになったら商品化を考えるようです。9月には日本語学校の盆踊り大会のバザーでプロミスリングを売って完売し、10月には日系人の方が開いた手工芸の展示会・バザーにもたくさん出品し、多くの物が売れました。この展示会の宣伝のため、日系人の方とテレビに出演したこともよい思い出となりました。今後は11月下旬に大使館婦人の方が主催されるバザーに作品を数点出品させてもらい、また私の職場では、これまでカウンターパート達と2年間作ってきた作品を展示します。11月最初に最後の他支部での講習会も予定しています。今何よりも忙しいのはテキスト作りです。今後も今まで教えてきたことが継続されるよう、良い物を残したいと思います。

☆スペイン語の上達度
ドミニカの行く前にいろんな人から、「2年間もスペイン語圏にいたら、もうペラペラに喋れるね。」と言われました。私も、「そうなるのかなあ」とちょっと期待しましたが、そう思うようにはいかないものです。もちろん、日本にいるよりもスペイン語に接する機会が多いので、意識をしていればそれなりに上達しますが、この意識がなければある程度のところまでで、後はそう伸びないと思いました。同じ2年間でも自分で意識を持って勉強した人とそうでない人とでは大きな差があります。私もそれなりに頑張ってきたつもりではありますが、まだまだです。文法的なことはもちろんのこと、ボキャブラリーが貧弱なので今後も意識して辞書を引くことを心がけたいと思います。日本に帰ったらスペイン語の勉強を継続することは困難になります。自分で何とかスペイン語に接する環境を作り、今後も勉強を続け、何とか使えるスペイン語にしたいと思います。それにしても語学って本当に水物ですね。協力隊の試験を受ける前にあれほど勉強した英語も今となっては全く使い物になりません・・・。

☆新たな未知の世界
8月の初めに、それまで山人間だった自分がスキューバのライセンスを取りました。子どもの頃から海に対して恐怖心があり、潜るなんてとんでもないと思っていました。しかし同期隊員の応援と素晴らしい信頼のおけるインストラクターのおかげで恐怖心を克服し、ライセンスを取ることができました。宇宙以外にこんな未知の世界もあったんだと改めて感動しました。テレビや写真でしか見たことのなかった世界が目の前に広がっていました。先日はライセンスを取って3ヶ月ぶりに潜り少々不安でしたが、不思議なほどに落ち着いていて何の問題もなく、水深13mまで潜りました。自分でも驚いていることは、ついこの間、恐怖心を克服してライセンスを取ったばかりなのにもかかわらず、何とナイト・ダイブ(夜の潜水)までやったことです。これには自分自身もびっくりです。でも夜の海底は昼間とまた違って見えます。昼間に見られないような生物が姿を現します。今回はウミガメと夜光虫を見たことが大きな収穫でした。インストラクターが言うには、ウミガメを見られるのは珍しいことだそうです。また、夜光虫も深いところにいかなければ見られないのですが、ライトを消して真っ暗になると緑色に光って見えます。まるで蛍が飛び交っているようで何とも不思議で神秘的な体験をしました。約50分の潜水から上がってボートに戻り、上を見上げると満天の星空が広がっていました。この日はほぼ新月、本当に綺麗な星空でした。もう11月になろうとしているのに、日本だったらこんな経験はできません。ドミニカに来て良かったと本当に思いました。この先、機会があればもっと上のライセンスも取りたいし、水中写真も撮ってみたい・・・夢は広がります。

☆これから先の可能性
青年海外協力隊の参加を決めて試験、訓練、そしてドミニカでの生活を通して私自身が学んだことは、「自分がこれまでにしたことは、絶対無駄にならない。必ずどこかで生かされる。」ということです。これから日本に帰って、まず私たち隊員の多くが直面しなければいけないことは、「今後の進路」です。 現職参加の人は元の職場に戻りますが、多くの隊員が退職参加、新卒です。私も含めてそうですが、未だに続く日本の不景気、それに伴う就職難など厳しい現実が待ちかまえています。日本は私たちが各国に派遣される前とそう変わっていないかもしれませんが、少なくとも私たち隊員は大きく成長して帰ってきます。私は少なくとも自分の2年間の経験を大事に、そして誇りに思い、自分の可能性を信じたいと思います。厳しい現実を受けとめながらも日本に帰ってどんなことが自分に出来るか楽しみです。やはり子どもたちに自分が学んだ多くのことを何らかの形で還元できたらと考えています。どんな世界に住んでいる子どもも無限の可能性を持っています。1人でも多くの子どもたちに世界には活躍の場がたくさんあるということを教えたいと思います。これからの未来を築くのは子どもたちです。それぞれの可能性に気づかせて引き出してあげられたらどんなに素晴らしいことでしょう。将来が楽しみになりますよね。

Line

[表紙] [メニュー]