第4回カンポ巡り:SAN JOSE DE OCOA
ドミニカの桃源郷探検&農業研修ツアー
今回の旅の目的は、暑くてしょーがない首都を脱出し、桃源郷とうわさの高い(標高も高い)オコア在住の果樹隊員(すいません、村落だと思ってました)河野雅史氏の家(電気のないランプの宿)を訪ねる、まささんが作ってる完全無農薬有機栽培の畑を手伝う、そしてあわよくば収穫が期待される野菜をもらってくる!
7月30日(金)3時にJICA事務所に集合。集まったのはヤマサのいけてる村落隊員1号2号(各バチャ―タ専門家・評論家)ロマ―ナのおちゃめな小学校の先生隊員(別名:踊るキャンディ・キャンディ)、今回唯一の男性参加者・大和撫子たちのナイト役(のはず・・・)の陶芸隊員、そして私の以上5人。皆で離任地届けを出して出発!
パルケ・デ・インディペンデンシアからバスに乗り、発車したのが4時15分。最初は空いてたけど、じきに満員になり、エアコンもなぜか止まってしまい、いつもながらの暑くてきつい車内となる。でも私はコブラドールが集金にきたことも、風で自分の帽子がとんだことも知らず、ひたすら眠っておりました。
6時半にオコアに到着!おお、涼しいぞ!やっぱり首都とは違う!
まささんが迎えにきててくれました。ここでカミオネッタ(ミニトラック。田舎ではこれがバス代わり。もちろん荷台に乗るのよ)に乗り換えて更に山道を登る。ところでトラックの荷台に乗る、というのは実は意外に技術と体力を要することだったのだ。私以外の4人は慣れたものなのだが(まささんはバイク)初心者の私にはなかなかにスリリングかつハードな1時間でありました(傾斜がちょっときつくなると滑ってってしまうとか・・・)でも首都では見られない美しい夕焼け空と山々を眺めながらの1時間でもありました。
で、今晩の宿に到着!以前、ピースコー(平和部隊ってやつ。合衆国の協力隊みたいなもの)の人が以前使ってて、今空いてる家ををまささんが借りてくれたのだ。ここを5人で貸し切り。女子4人は各2名づつベッドで、男子1名は寝袋で、という割当て。
一休みして、更に山道(林道みたいなかんじ)を20分ばかり登ってまささんのホームステイ先へ。すごい星空!目の前にどーんと蠍座がかかり、白鳥座もここでは横向きに見え、天の川も雲かと思えるほどにくっきり。ほんの20分ほど歩く間に、みるまに星が増えていく。目の高さにまで星が見えるという、ホントにみごとな星空でした。
で、まささんのお家でアレピータ(採りたてとうもろこしをつぶして、ほんのちょっとの水とこねて、おせんべい状態にして油であげたお料理。美味!)とジュースをごちそうになり、バチャータ(ドミニカのカンポで絶大な人気を誇る音楽ジャンル。ここではロックだのポップスだのはもちろん、サルサも不人気。メレンゲすらバチャータにはかなわない)を聞き、ちょっと踊り(家の中で。音楽がかかると、子ども達はすぐに踊り出す。女の子同士とかでも踊っちゃう。こうしてドミニカーノはバイレの達人に育っていくのね)お宿へ帰り、11時頃就寝。帰り道では満月にすこし欠けた大きな月が、懐中電灯もいらないほどに明るく照ってました。
7月31日(土)今日もいい天気
よく眠った人3名、寒くてよく眠れなかった人1名、そしてロバの鳴き声がうるさくて眠れなかった人1名。顔を洗ったりなんかしてるとお向かいの人がコーヒーを持ってきてくれた。朝ごはんにプラタノもちょっとごちそうになる。
ところで、カンポではよくロバを見かける。小さな子どもが振り分け荷物を乗せたロバの上に座り、手に緑の小枝かなんか持って道行く姿を日頃羨望の目で見ていた私は、すぐそこにつながれているロバがとても気になった。うーん、乗ってみたい。でもどうすれば乗せてもらえるんだろう・・・そしたらヤマサ1号の利恵さんが「そんなの乗りたいって言えばいいんだよー」と言って、さっさとロバのそばの家に聞きに行ってくれた。そしたら、すぐそこのコルマド(売店)のロバだから、そっちで聞いてみろと言われ、そっちに聞いたら、ロバよりこっちのがいいだろう、と馬を連れてきてくれた。しかもあぶみまでついた立派な鞍をつけ、その鞍の掃除までしてくれ、手綱もつけ、更に試乗までしてくれた。まるでお姫様待遇である。
わーい、馬だ馬だー!!何を隠そう、実は私はモンゴルの草原までわざわざ馬に乗りに行ったやつなのだ(別に乗馬の達人というわけではありません)しかもこの馬がおとなしく気立てのよい馬だった。あたりをくるっと廻ってきただけだけど、実にいい気分でしたね。(ロバには次回、ヤマサで乗せてもらう予定。わーい!)
さて、いよいよまささんの畑へ。まささんはバイクで先に行ってるからと、案内の子をよこしてくれたんだけど、実はこの男の子(ジョナタン君・推定8歳)がちゃんとわかってなかったため、結構な回り道をしてしまい、ようやく畑に着いた時は10時半(ここまでの道がまた、山道あり、沢沿いありで探検隊気分、盛りあがりました)遅れた分、がんばって働かねば!
お仕事の内容:きゅうりの追肥
1、畝に沿って植わっているきゅうり(まだまだペピニット)の周りの雑草を抜く
*後からまささんとカウンターパートさんが鍬で除草しなおすのでホントに周りのだけでよい。
2、まささんの作ったボカシ肥を一掴みづつきゅうりの根元に置く
*畑は傾斜地にあるんだけど、山側から土をかぶせるのでそちら側に置くこと。肥料効率が良いように根元にかためて置くこと。 以上!
というただこれだけの作業なんだけど各人の性格が仕事ぶりに表われて面白かった。村落隊員お二人の働きはさすがでした。じりじり日が照り付けて暑い!でも休憩いれながら12時半まででお仕事終了。え?もういいんですか?もっと働きますよ?と言いながら心は昼食に飛ぶ。まるでアルプスの少女ハイジの舞台のような風景を見ながら(ホントなんだってば!ヤシの木があってもなぜかそういう雰囲気なんだってば!)村の野球場へ。そうなんです、ここには野球場があるんですねえ、村のチームが練習してるわけなんです。ハイジから突然気分はフィールド・オブ・ドリームスへ。この野球場の脇で、たっぷりのごはんに地鶏度100%の鶏肉をごちそうになりました。食べてると子ども達がにこにこしながら寄ってくる。鶏や犬は物欲しそうに寄ってくる。骨を投げてやると争奪戦が起きる。その周りを豚やホロホロ鳥が歩いている。大きなアボガドの木陰で昼寝してるのもいる。ああ、なんてのどかな風景・・・・。
ゆっくり休ませていただき、その後「カンポといえば昼寝なのよ!」という村落隊員のお言葉に従って昼寝するべく家に戻る。各自眠ったり水浴びしたり思い思いにのんびり過ごす(なんか休んでばっかだなあ)
夕食は7時にまささん宅で。でもその前にまささんがJICAの支援経費を使って建てた苗床とボカシ肥の倉庫を見せてもらった。
*えー、ボカシ肥というのは日本の伝統的な有機肥料なんだそうです。鶏糞、米ぬかが主原料。それに油粕などが入る場合もある。まささんは油粕は使わないで糖蜜を入れてるそうだ(ここではサトウキビから作れる)とても良い肥料なんだが日本では原料費が高くつく。でもここではそうでもないそうで、オコアではすっかり定着してるかんじ。でもそれもまささんの努力があったからこそ。最初の頃は化学肥料信仰が根強くて、ボカシなんて見向きもされなかったそうです。すばらしい活動成果だ!
まささん宅でスパゲティとプラタノをごちそうになり、その後コルマドへ踊りに行ったんだけど・・・バチャ―タというものが、かくもカリエンテなものだとは知りませんでした。しみじみ私は軟弱な首都隊員でした。女性隊員のみなさん、カンポで踊るときには左手を鍛えてから行こう。ポイントは左手。
で、結構くたびれて12時頃就寝。
8月1日(日)きょうもやっぱり良い天気
8時に起きた。顔を洗って荷物を詰めて、ぼーっとしてるうちにお迎え登場。今日は地元の農業普及員(まささんの同業者ってことかな?)エスメルリン氏の農場を見せていただくのだ。
同氏のカミオネッタに乗って出発。桃源郷の名に相応しい、でもどこか日本的に懐かしい風景の中をカミオネッタはガタガタと走っていく。この旅行でずいぶんカミオネッタ乗りこなし術(?)を教えてもらいましたよ(まずは座るポジション、そして手の位置、足の位置、腰の浮かせ具合なんかがポイントだそうで・・・それにしても翌日あっちこっち痛かったのは私だけ?)
まささんによれば、エスメルリン氏の農園があるあたりの村は、電気も水道もあり、学校、つまり教育もあり、農業もレベルの高いことをやっているモデル農村のような地域なんだそうだ。で、同氏の農園について。
1、作っている野菜:うーん、多すぎてよくわからない・・・見た覚えがあるのはナス、キュウリ、カボチャ、ホウレンソウ、チンゲンサイ、トウモロコシ、プラタノ、トマト、大豆。果物はマンゴー、パッションフルーツ、グレープフルーツ。でも他にもまだあるでしょう、きっと。
2、使っている肥料:ボカシ肥とミミズを使った肥し。えー、これはどういう仕組みかというと、まず囲いの中に普通の土とミミズを入れる(餌として落花生収穫後の茎葉も混ぜておく)その上にネットを一枚かぶせる。その上にウサギの糞を置く。するとミミズがそれを食べて糞をする。ミミズの糞というのはとても良い土なんだそうで、そのうちに(どれくらいの期間が必要かは聞き忘れた)下の土が良く肥えた腐葉土になる。そしたら下の土を入れ替えるわけなんだが、ミミズはそこに残しておきたい。どうするのかというと、上に新しいウサギの糞をどさどさっと置くと、ミミズ達はネットをくぐって食べにくるんだそうで、すかさずネットを持ち上げてすばやく交換するんだそうだ。そしてミミズは上に置いた糞ごとまた土といっしょにして、以下繰り返し(正確じゃない部分があったらごめんなさい)
問題はアリがミミズを食べちゃうことだそうで、でももちろん薬は使えない。そこで、プラスチックカップにパイナップルの果汁と砂糖水を混ぜて3日おいたものを入れて数箇所に置いておく。するとアリはそこにおびきよせられ、中に入る。そしてべたべたして上がれなくなってそれまでよ、というアリ罠が仕掛けてありました。
3、あっちこっちにひまわりの花がある。どうして?それはこの花に来る蜂が野菜を食べる幼虫たちを狩るからだそうだ。これを「天敵防除」というそうです。(ちなみに彼は蜜蜂も飼っている)除虫菊もそこここに見かけた。先ほどのアリ罠のペットボトルバージョンが畑にぶらさげてある。どうして?それは野菜に卵を産み付ける蝶や蛾をおびき寄せるため。こうして彼は減農薬してるそうです。
4、こっちの畑って一種類だけじゃなく、いろんな種類の野菜が植えてある(トウモロコシとジュカとか)どうして?それはその方が雑草が生えにくいってことと(要するに雑草の生えるスペースが減る)お互い助け合える作物もあるそうだ。傾斜地には合間に豆類を植えておくと土壌流出を防げるんだそうです。窒素固定もできるし。
5、潅水設備もばっちり。でもスプリンクラー式ではなく、ゴムチューブに定間隔で穴を開け、畝毎に並べてそこに水を通す。傾斜地ならポンプなしでもOK。平地ではポンプが必要。穴のところに苗を植えておけば、ピンポイントで無駄なく水をやれる。(ゴムチューブは4年毎に取り替えるそうです)
機械をどれだけ使ってるのかは聞き忘れましたが、一つの作物の収穫が終わったあと、残った葉っぱその他を畑に鋤き込んでるらしいので、そんなときは使うのかもしれません。あと面白かったのは、パッションフルーツ等つる植物をはわせるのに電話線を使ってること。CODETEL(こっちの大手電話会社)から不要品をもらってきたらしい。そんなふうにお金かけずにやっちゃうとこが頭いいよねえ。
そこらに生ってるパッションフルーツ(初めて生で食べた!)やマンゴーをかじりながら感心しっぱなしで、見学終了。
それから、オコアの町中にある私の同期の養護隊員のホームステイ先に行ってお昼をごちそうになった(サンコ―チョ美味しかった!ごちそうさまでした)実は彼女は日本から来る友人を出迎えるため首都に上がっていたのだが、既に別の友人一名が滞在中だったうえ、電気機器隊員も遊びにきていた。食べてるうちに養護隊員も友人を連れて帰ってきたし、この日オコアの日本人人口密度はかなり高かったろう。
そうこうするうちに時は経ち、地方に帰る人もいるし、この度の旅行はお開きとなりました。私は同期同士積もる話もあったので、他の人より1時間遅いバスで首都に帰ってきました。(なぜこの路線はいっつも混んでるの?!)
いやあ、くたびれましたがいろいろ勉強させていただきました。首都にいてはわからないことばかりです。やっぱりカンポ巡りは大事です。
まささん、もりじょ、ホントにお世話になりました。!!Muchisimas Gracias!!
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